仙台地方裁判所 昭和43年(わ)293号 判決 1968年12月11日
本店所在地
石巻市吉野一丁目六番一九号
山徳平塚水産株式会社
右代表者代表取締役
平塚留五郎
本籍
石巻市吉野町一丁目三八
住居
同市同町一丁目六番一九号
会社役員
平塚留五郎
明治四〇年一二月二四日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官中村勲出席のうえ審理し、つぎのとおり判決する。
主文
被告会社山徳平塚水産株式会社を罰金四、〇〇〇、〇〇〇円に、
被告人平塚留五郎を懲役六月に
各処する。
ただし、被告人平塚に対しこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、石巻市吉野町一丁目六番一九号に本店を置いて水産加工業等を営む株式会社、被告人平塚留五郎は右会社の代表取締役としてその業務の全般を統轄しているものであるが、被告人平塚は被告会社の業務に関して法人税を免れる目的で、売上金額等の一部を公表帳簿に計上せず、これによつて得た資金を架空名義、無記名などによる預金、利付債券として蓄積する等の不正の方法により、
第一、昭和三九年八月一日から同四〇年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二八、二八五、一八四円これに対する法人税額が九、九八五、二〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四〇年九月三〇日、所轄石巻税務署長に対し、右事業年度の所得金額は一〇、二一〇、七四六円、法人税額が三、三〇七、一四〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告会社の実際の法人税額と右申告税額との差額六、六七八、〇〇〇円を逋脱し
第二、昭和四〇年八月一日から同四一年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は一〇、七七七、九五七円これに対する法人税額が三、五四二、八〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四一年九月三〇日、所轄石巻税務署長に対し、右事業年度の所得金額は四、五一四、二六三円、これに対する法人税額が一、三〇〇、六五〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告会社の実際の法人税額と右申告税額との差額二、二四二、一〇〇円を逋脱し
第三、昭和四一年八月一日から同四二年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額は二三、二九一、六四八円にこれ対する法人税額が七、五一六、〇〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四二年九月三〇日、所轄石巻税務署長に対し、右事業年度の所得金額は一一、五五四、三七七円、これに対する法人税額が三、四二三、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告会社の実際の法人税額と右申告税額との差額四、〇九二、二〇〇円を逋脱し
たものである。
(証拠の標目)
全体につき
一、被告人の当公廷における供述および大蔵事務官の被告人に対する各質問てん末書と被告人の検察官に対する供述調書
一、大蔵事務官作成の簿外取引にかかる売上およびたな卸商品の除外調査書
一、関本徳蔵の上申書
一、大蔵事務官の宮古修一郎に対する質問てん末書
一、浅野幸大の上申書
一、大蔵事務官作成の簿外預金等の受取利息調査書
一、大蔵事務官作成の簿外預金等調査書
一、大蔵事務官作成の簿外経費調査書
一、大蔵事務官作成の架空支払利息未経過支払利息の調査書
一、平塚正志の検察官に対する質問てん末書
第一の事実につき
一、法人税確定申告書(証一号)
一、荷主元帳(証四号)
一、大月英夫の上申書
一、到着整理票(証五号)
一、伊藤広吉の上申書
一、大蔵事務官作成の39/7年度法人税修正申告書
一、大蔵事務官作成の40/7期未納事業税額計算書
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和39年8月1日至昭和40年7月31日)
第二の事実につき
一、法人税確定申告書(証二号)
一、伊藤広吉の上申書および堀田鋳太郎の上申書
一、西条芳次郎作成の取引高および決済状況等調
一、斎藤鉄男の上申書
一、大蔵事務官作成の40/7年度法人税修正申告書
一、大蔵事務官作成の41/7期未納事業税額計算書
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和40年8月1日至昭和41年7月31日)
第三の事実につき
一、法人税確定申告書(証三号)
一、堀田鋳太郎の上申書
一、買付報告書(証六号)
一、田中啓策作成の取引高および決済状況調
一、望月菊蔵作成の取引高および決済状況調
一、大蔵事務官作成の41/7年度法人税修正申告書
一、大蔵事務官作成の42/7期未納事業税額計算書
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和41年8月1日至昭和42年7月31日)
(法令の適用)
被告会社に対し
判示事実につき 各法人税法一六四条一項、一五九条、七四条一項二号
以上につき 刑法四五条前段、四八条二項
被告人に対し
判示事実につき 各法人税法一五九条(各懲役刑選択)、七四条一項二号
以上につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第一の罪の刑に加重)
執行猶予につき 刑法二五条一項
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 細野幸雄)